すみれ通信 SUMIRE
すみれ通信
すみれ通信2019年7月号
7月になりました。学生の皆さんは待ちに待った夏休みが始まりますね!夏休みは暑くてのどが渇きスポーツドリンクを飲んだり、ついついおやつの回数が増えてしまったりと、虫歯が気になる季節です。毎食後の歯磨きは忘れずに、夏休み中に一度は検診を受けに来てくださいね。
さて、最近はコンビニに行くと、みかんやヨーグルト味のフレーバーウォーターやコーヒーやコーラなど、様々な透明飲料が並んでいます。水のような外見からクリーンなイメージがあり、健康志向が強い近年の消費者に注目されているそうです。仕事や授業中に色が付いたジュースを飲むのは気が引けるけど、透明なら水に見えるので気軽に飲める、なんて人もいるとか。
ここで気をつけたいのが、透明でも普通の飲料と同量の酸や砂糖が入っていることです。暑い季節、ちびちびと飲み続けると、唾液による再石灰化が間に合わず、酸で歯の表面のエナメル質が溶け、薄くなったり軟らかくなったりします。進行すると象牙質がむき出しになって歯が茶色くなることもあります。できるだけ短時間で飲みきって、飲んだ後はうがいや歯磨きをしましょう!
大腸がんと歯周病菌の関係
★大腸がんの発がんに歯周病が関係している!?
大腸がんとは、大腸に発生するがんのことです。日本人のがんの中の罹患数は1位。近年大腸がんは増加しており、死亡数は肺がんに続いて第2位という恐ろしい病気です。大腸がんと歯周病にはいったいどんな関係があるのでしょうか?
横浜市立大学は2018年6月28日、大腸がん患者のがん組織と唾液に共通した菌株が存在していることを発見しました。その菌は、Fusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム:F.n.)という細菌です。多くの人が口腔内に持っている常在菌の一種で、歯周病の増悪化にも関与することが知られています。これまでの様々な研究の中で、F.n.が大腸がんの病態や予後に悪影響をおよぼすという報告例が増え注目されていましたが、F.n.がヒトの腸内から検出されることは少なく、大腸がんでの感染経路はよくわかっていませんでした。研究チームは、F.n.が口腔内優性菌種であることに着目し、F.n.が口腔内から大腸がんへ移行して原因になっているとの仮説を立て、患者の大腸癌組織と唾液からF. n.を分離して解析した結果、4割以上の患者で、大腸癌組織と唾液に共通したF. n.菌株が存在していることを発見しました。詳しい感染ルートは分かっていませんが、今後の大腸癌の新たな治療法、予防法、リスク評価などに繋がる可能性があります。
★歯周病ってどんな病気?
歯周病とは、まず歯肉が炎症を起こして腫れ、歯と歯肉の間に歯周ポケットという隙間が出来ます。それが深くなると細菌の固まりであるプラークが付着し、やがて歯石になります。そして歯周病菌の出す毒素によって歯を支える歯槽骨が溶け始め、最終的には歯が抜け落ちてしまうという恐ろしい病気です。
自覚症状がなく、気がついた時には手遅れになっていることが多いため、サイレント・ディジーズ(Silent Disease:静かなる病気)とも呼ばれています。
また歯周病は、脳梗塞、誤嚥性肺炎、心筋梗塞、心内膜炎、動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症、早産、メタボリックシンドロームなど、全身の様々な病気と関係していることが分かっています。
★全身の健康はお口の健康から!
歯周病は、全身状態を悪化させ健康寿命を縮めてしまうことになります。しかし、正しい口腔ケアを続けていれば、歯周病やむし歯の再発を遅らせることができます。
歯周病予防のためには、毎食後きちんと歯を磨き、バランスの良い食事、ストレスをためない生活を心がけましょう。また、3ヶ月に一度は、歯科医院でメンテナンスを受け、自分では落とすことのできない歯垢や歯石をきれいに除去しましょう。